西大寺会陽

SAIDAIJI-EYO

本祭レポート

「はだか祭り」として知られ、今回で514回目となる岡山県岡山市の「西大寺会陽(さいだいじえよう)」。2023年の今年は3年ぶりに有観客にて開催され、「はだか」による「地押し(じおし)巡行」が行われました。

例年盛り上がりを見せる宝木の争奪戦は今回も見送られましたが、それでも3年ぶりの有観客開催とあって2万人の観客と2千人の裸衆が集まり、ようやく祭りの活気が戻ってきました。地域ぐるみで大いに盛り上がった2023年西大寺会陽の様子を密着レポートします。

【公式】“天下の奇祭”はだか祭り 第五百十四会 西大寺会陽 2023

西大寺会陽(はだか祭り)とは?

岡山県岡山市東区にある金陵山西大寺。起源は室町時代まで遡るという天下の奇祭として有名な「西大寺会陽(はだか祭り)」は、ここで毎年2月第3土曜日におこなわれます。3週間にわたる行事のクライマックスとなるのが、裸の男たちが一対2本の「宝木(しんぎ)」を奪い合うはだか祭りのシーンです。

2月の寒空の深夜。広い境内に例年約1万人ものまわしを締めた裸の男たちがすし詰め状態で集まります。目指すは、御福窓より投下されるわずか一対2本の宝木。これを手にし「福男」となるために激しい争奪戦がおこなわれるのです。

祭り紹介

会陽(えよう)は、毎年2月の第3土曜日に宝木が投下されますが、その19日前の会陽「事始め」から行事が始まります。その3日後には宝木の素材を授かる「宝木取り」、授かった原木を宝木として削り整える「宝木削り」と進み、その後、14日前からは「修正会(しゅしょうえ)」と呼ばれる新年の大祈祷が開白され、僧侶が国家安穏・五穀豊穣・万民豊楽を毎日祈ります。その結願日におこなわれるのが西大寺会陽(はだか祭り)です。朝から多くの男たちが全国各地から集まり、夜になるにつれワッショイというかけ声が境内に広がります。午後10時からは本堂にある御福窓から、すし詰めの男たちの上に宝木が投下され「福男」になるべく壮絶な奪い合いが始まるのです。

このとき男達の志気を高めるために「会陽太鼓」を打つのは女性たち。例年、昼間には子どもたちによる「少年はだか祭り」もおこなわれます(2023年は中止)。

2023年は、コロナ禍の為、宝木争奪戦は中止になりましたが、水垢離行などまわし姿で境内を巡行して、邪気を鎮める「地押し(じおし)」を主とした裸祭りを3年ぶりに開催致します。福男は決めず、宝木は午後10時に祝主様に直接投下して授ける形でおこなわれる予定です。その他、会陽冬花火の打ち上げや露店の出店があり賑わいます。争奪戦開始以前の様式に則り、あらかじめ選ばれた祝主様に直接宝木を授ける形でおこなわれる予定です。

歴史・背景

会陽は東大寺で創始された修正会が発展したものです。修正会は毎年旧正月元旦から14日間かけておこなわれます。金陵山西大寺では、修正会の結願日に参拝者へ守護札を授与していました。この守護札が宝木の始まり。永正7年(1510年)忠阿(ちゅうあ)上人の頃になると「守護札を戴く者は福が得られる」と話題になり希望者が続出したため、参拝者に投下するようになりました。紙の御札は奪い合うとすぐ破れてしまうため木に替わったとされています。そして、奪い合う男たちも最初は着衣の状態でしたが、より自由を得る為に、水垢離行と不離一体の修行としてまわし姿となり、裸で奪いあうようになったと考えられています。

感染症対策の取り組み

令和5年の西大寺会陽は、伝統行事の保存及び継承を目的として、安全を最優先に考え、感染症対策を講じながら、3年ぶりに有観客で開催いたします。安全安心な行事の実施に向けて、参加者及び関係者、そして市民や来場者の皆様のご協力をお願いいたします。

・発熱もしくは体調不良の方は、ご来場をお控え下さい。
・境内では不織布マスクの着用をお願いします。
・密集を回避するため、境内では譲り合っての行動をお願いします。
・飲食時の会話はお控えください。なお、境内での飲食は禁止です。
・その他、境内では係員の指示に従っていただくようご協力お願いします。
・当日はYouTubeにてライブ配信を実施いたしますので、ご自宅でもお楽しみいただけます。

継承活動の取り組み

国指定重要無形民俗文化財にも指定されている岡山県岡山市の奇祭、「西大寺会陽」(はだか祭り)。2月の夜、寒空の下でまわし姿の大勢の男たちが、2本の宝木を巡って争奪戦を行う姿は圧巻のひとこと。そんな祭りの安全を守り、スムーズな遂行を支えているのが、西大寺会陽奉賛会です。

今回、西大寺会陽奉賛会 会長の大森實さんと、別格本山西大寺住職の坪井綾広さんに、コロナ禍での西大寺会陽(はだか祭り)についてお話を伺いました。

開催概要

開催日程

日程:
2023年2月18日(土)※毎年2月の第3土曜日
場所:
金陵山西大寺

アクセス

金陵山西大寺

〒704-8116 岡山県岡山市東区西大寺中3-8-8

●JR西大寺駅から徒歩約15分

●山陽自動車道山陽ICから約30分